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油価高騰

「石油は産業のコメ」長らくそう言われてきました。
では、コメが高騰してしまったら?1994年の米不足の時の様に混乱が起きることは必至かと。そんな状態が今まさになのでしょう。ガソリンの価格が上がり、漁業関係の仕事が不採算に陥る、ガソリンスタンドが潰れる、輸送費高騰によって全ての商品の価格が高騰する。。。

では、なぜこのようなコトとなってしまったのか。それを考えてみました。

Objective
油価高騰の理由を考える!

Conclusion
石油の金融商品化が原因!

Background
石油の価格高騰を考える際、その歴史を辿ることは必須のようです。

石油はイギリスで18世紀に起きた石炭の利用の様な革新的なエネルギー効率の改善をもたらしました。1900年初頭、「石油を制する者が世界を制する」と言われるまでの重要物資となっています。石油は石炭と同体積で約1.3~2倍のエネルギーを持っているそうです。また、液体という形質から来る輸送の容易さも相俟って、一気にエネルギーの主要な座を獲得します。

そのため、石油の発見後はその利権を巡る争いとなりました。欲求は国内だけでなく、世界中へと拡散します。

特にアメリカは常に石油の安定供給を求めて行動してきました。自動車という発明が起こってから、そのエネルギー需要は幾何級数的に増加します。そのため、自国の石油発掘のみでは対応できず、中東へと食指が伸びることとなります。

中東の石油産油国で構成されるOPECはそれに対抗。組織的に産油量を統制し、石油の価格に対する影響を確保します。そのため、石油価格は需給の関係より1970年台に一時高騰します。オイルショックです。

アメリカはそれにより、更なる石油の安定供給の必要性を痛感します。そのため、中東の民主化とそれによる石油の安定供給のために中東への介入を強めます。それにより起こったのが、2001年、9.11の同時多発テロ。これに対してアメリカは正当な理由でイラクを侵攻します。この時にアメリカは石油を自国統制下に置くことを可能にしたのです。

では、なぜ、原油価格は高騰するのか。供給量は十分なだけ確保できたのではないのでしょうか。

これは、需要と供給の関係では説明のつかない価格の高騰であることが明らかです。そもそも、WTIはアメリカにおける石油の指標なので、地域性が高いのです。日経新聞には世界の石油情勢を示すためドバイ原油の価格が掲載されています。そのため、アメリカ国内のWTIの指標が異常なペースで高騰しているのは、他の原因があるはずです。

原因①:米国ドルの下落
WTIはドル建てでその値段が決まっているので、ドルが他の通貨に比べて下落すればWTIの価格は高くなりやすいと言えます。円安になると、輸入品が高くなることと同じです。

原因②:投機資金の流入
需給以外の原因で価格が高くなるとすると、本来必要ではないのにも係らず、欲しがる人たちがいるということとなります。そのような、需要ではない買いが投機です。
世界中に投資の対象となるものはいくらでもあります。その最も一般的なものの一つが株と不動産。

しかし、米国では今、双方が壊滅的に下落しています。不動産はサブプライムショックで、株はその煽りを受けて下落してます。そのため、適当な投資対象が無い。

そんな折に目を付けられたのが原油です。そもそも、2004-5年頃に米州では「ピークオイル」と呼ばれる、石油の生産ピークが近いうちに来て、その後石油の生産量は激減するという論調が強く叫ばれていたようです。ピークオイル関連の書籍が2004-5年に集中して発売されていることからも、「ブーム」があったことは間違いないようです。

そこに乗ったのが、投機筋ということなのでしょう。当時はまだ株も値上がりしており、投資対象が多くあった。しかし、株が値下がりしている昨今、値上がりを続ける原油に対して投資が向かうのは想像に難くありません。

そのため、今の原油価格の高騰はいつかは収まるはずです。特に株価がまた上がれば投資資金のシフトが起こりますので、その時にある程度の油価の下落は起こるはずです。

今回、石油関連の書籍を4-5冊読みましたが、石油の歴史はまさに世界の覇権の歴史です。石油に代替するエネルギー、例えば水素電池が実用化されれば、本当に世界の力関係は一変すると思いました。インターネットが世界のコアを無くした様に、新しいエネルギーは現状の秩序を壊すものだと思います。

ではでは。

石油 もう一つの危機 Book 石油 もう一つの危機

著者:石井 彰
販売元:日経BP社
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☆×4
筆者は独立行政法人:石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)のアナリスト。一連のピークオイル論の後に書かれた本で、ピークオイルの時の議論を総括的に纏めてあります。読みやすいです。

ピーク・オイル・パニック―迫る石油危機と代替エネルギーの可能性 Book ピーク・オイル・パニック―迫る石油危機と代替エネルギーの可能性

著者:ジェレミー レゲット
販売元:作品社
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☆×4
ピークオイルとは何か、それによる影響、石油の歴史と世界情勢について分かりやすく書かれています。米国の中東侵攻は石油のためであるとの論調です。

石油 最後の1バレル Book 石油 最後の1バレル

著者:ピーター・ターツァキアン
販売元:英治出版
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☆×3
人類のエネルギー活用の発展について豊富なデータを基に書かれています。エネルギーの活用の歴史は、発見⇒応用⇒浸透⇒枯渇⇒発見というサイクルを繰り返していることを説明。その通りだと、今は枯渇の前期ということになります。

石油の終焉 Book 石油の終焉

著者:ポール・ロバーツ
販売元:光文社
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☆×3
石油の世界の利用、代替資源としてのLNGについて書かれています。2050年までにCO2の排出の50%を代替エネルギーにて効率化しないと地球温暖化が免れないとの記載。

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