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カツマーが増える理由-読書進化論の書評に代えて-

勝間さんの本は日に日に人気が高まっています。その理由はやはり、「本物」であるからではないでしょうか。小手先の技術指導ではなく、思考の根本から丁寧に解説してくれる本たちは、良いスキーのインストラクターのように私たちを導いてくれていると思います。

今回は「読書進化論」の感想とともに、勝間さんについて思ったことをまとめたいと思います。

Objective
カツマーが増える理由を考える!

Conclusion
夢と現実の架け橋を提供するから!

Background
僕が勝間さん関連の出版物("勝間本")を一言で纏めるとしたら、「極度に高い再現性」と表します。今までの勝間本では「再現性」という言葉は出ていませんでしたが、「読書進化論」では目次にて発見できました。

勝間本が非常に質の高い論理構成と、扱うトピックの良さで売れていることは間違いないのです。ただ、どうしてここまで「カツマー」と呼ばれるリピーター、中毒者が出るのか。それは「生活の一部に勝間さんが入り込んでくるから」だと感じています。

勝間本は、その主張を実行可能な行動レベルにまで落とし込むことが徹底されています。そして、その理論的裏付けとのバランスが極めて良い。

今回の「読書進化論」は本に関連する人達の効率性を上げることに注力されています。今までは、読者の行動改善のみでしたが、今回は本に関わる人全ての効率の向上が目標です。

読者が実用書を読んだ後にその内容を読者の日常にフィードバックできるかどうかは、読者にとって最大の課題です。現実に実行できない知識を得るための時間は、勝間さんの言葉で言うならば「投資」ではなく、「浪費」となります。緊急性も高くなく、かつ、重要性も低いから現実にフィードバックせずとも済んでいるわけですから。つまり、読んだことによる快感を得るための読書であり、小説のような楽しむための読書と読書としての内容は変わりません。

ただ、その原因が読者にだけあるかと言うとそうでもありません。読者が本の内容をフィードバックするまでの過程を分解すると以下の掛け算だと思います。

フィードバック率 = モチベーション × 知識理解率 × 活用方法理解率

そのため、読者がフィードバックできないのは、

①その気がない
②知識を理解していない
③知識を活用する術が分からない

ということとなります。これを、著者側に責任転嫁すると以下のようになります。

著書側の理由
①その気を出させるメッセージを伝えられていない
②知識を分かりやすい形で伝えられていない
③知識を活用する方法を伝えられていない

今まで、改善策をひたすら盛り込んだもの(××を改善するための50の方法等)や、改善策のように見えつつ、実行不能な案の提案をしている本(明日からあなたは××できる等)は多数あったのだと思います。しかし、改善案を並べたものは押し並べて理論的裏付けが弱く、やる気を起こさせません。また、難しく書いてある本は理解するのに一苦労です。最後に、たとえ理解できていたとしてもそれを活用する知識はまた別のもの。いわんや、無茶な主張を行っている著者の本はいかにという感じです。

「わかる」と「できる」は違うということです。

この点、勝間本は徹底して、目標⇒理由⇒行動の落とし込みが行われています。そのため、読者が実際に行動を実行する可能性が高い。そして、一度実行して何かが改善されると、その快感からまた新たな行動を行い新たな快感を得ようとする。また改善される。徐々に勝間式に浸かっていく。それが日常となる。止められない。

この中毒者がカツマーなのだと思います。

「読書進化論」では読者だけではなく、上流である出版業界からの変革が意図されています。これが意味するところは、「社会便益」の増加。最近の勝間さんのテーマではないでしょうか。

受け手のみでなく、書き手も。書き手のみでなく、売り手も。より上流からの変革。すなわち本を取り巻く社会の変革。一冊の本でそこまで意図されているものは今まで読んだことがありません。

さて、今回の本で出版業界すらカツマーとすることができるのでしょうか。それは、今回の本の売れ行き次第だと思います。この本が一つのモデルケースとなったとき、出版業界すら中毒者となる可能性があります。楽しみです。

勝間さんの本の書き方は実用書の一つの解です。逆に、「日本を変えよう」のような自己啓発本以外の本がどれだけ受け入れられるか。その本は、中毒の原因となる快感物質を直接は読者に与えないから。一方で、勝間さんの意図していると思われる社会便益の増加を前面に押し出している本です。テーマを前面に押し出した方が伝わりやすいのか。それとも「読書進化論」のように直接は出さない方が良いのか。この2冊は実験的な意図を含めて同時期に出されているのでしょう。

何かを学ぶことを人間は好みます。また、何かを学ぶことは、夢を与えます。だから、人間は夢見ることが好きなのです。昨日と違う自分を。たとえそれが小さな一歩であっても。その夢を現実とリンクさせる勝間さんの本は、内容が読者に昨日と違う自分を見つけさせてくれるものである限り売れ続けるのでしょう。

ではでは。

参考文献

効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法
勝間 和代
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 1470

☆×5
一番最初に僕が読んだ勝間さんの本です。いろいろと本は読みましたが、実用書で驚愕した本はこの本が初めてでした。構成、内容、書き方全てに凄まじいものがあります。ここの記載はほとんど実行しました。お勧めです。

☆×4
勝間さんの近著。本について書き手、読み手、売り手と視点の設定が面白いです。また、最近の読書法+ウェブの活用についても記載されており、次世代の読書方法だと思います。

勝間和代の日本を変えよう Lifehacking Japan
勝間 和代
毎日新聞社
売り上げランキング: 4661

☆×5
同じく著者の近著。この本が幅広い層に受け入れられた時に、本当に日本が変わるような気がしました。あ、この人は本気なんだ、と思った本です。

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コメント

シジロさんコメントありがとうございます。
考えをまとめる練習の意味も含めてこのブログをやっているので、そう言って頂けると嬉しいです。
伊坂幸太郎さん、僕も好きです。ロジカルで。

投稿: しんのすけ | 2008年10月 9日 (木) 12時33分

しんのすけさん、はじめまして。
勝間さんの記事を色々読んでいたところ、
このサイトにいきつきました。
カツマーの増加の意見、かなり納得できました。
夢への懸け橋、たしかにそうかもしれません。

2ヵ月程記事を読みましたが、全ての記事が読みやすく、
また考えがまとまっている印象を受けました。
また新しい記事などをチェックしていきたいと思います。
それでは失礼します。

投稿: シジロ | 2008年10月 8日 (水) 18時05分

コメントありがとうございます。
僕も、「守・破・離」は剣道を6年間やっていた中で、一番好きな言葉です。
「do with one's thoughts」も良い言葉ですよね。

よろしくお願いします。

投稿: しんのすけ | 2008年10月 7日 (火) 07時34分

はじめまして!
タクC2といいます
「守・破・離」、この言葉とは学生時代に出会い。僕にとっても大事にしている言葉です。
(馬の歩行をロボットで再現させる研究をされている教授の話の中で出てきた言葉でした。)
また、勝間さんの本に関する感想についても、
かなり共感を感じます。
このブログもいろいろと参考にさせてもらいますね!

投稿: タクC2 | 2008年10月 6日 (月) 05時34分

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