本の紹介 - 哲学、脳を揺さぶる
日経BP社
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揺さぶる?そんなものでは済みませんぞ。
本書は学習や知識の獲得を超えて、能力の形成を目標としています。読了感は「知る」に留まらず「体験する」感覚。普通の本を博物館とすると本書は科学館。本書の中で見て、知って、遊べるようにできています。
例えば、言葉遣い。「光の裏側」、「重力の内側」…本書はそんな言葉であふれています。いつも知っている単語のつなぎ方を少し変えるだけでここまで違和感のある言葉に仕上げることができるなんて。
例えば、題材。浦島太郎の玉手箱は何を意味するのかに始まり、イチローと松井から世界と私たちの関係を見出し、カオスからシステムとは何かを考える。昔話も、TVの中の毎日も、最先端の数学も著者にかかれば哲学に。
僕は、非常に良い切り口だなぁと思いました。そう思いません?
誘導で恐縮。もし思ったならばそれは間違い。
著者の言葉を借りると、「なにかを成し遂げていくためには視点を切り替える程度では本来なにも変わらない」のです。切り口を、視点を変えることができるのは既に別の視点を持っている場合だけだから。本当の転換、ブレイクスルーは体験の中からのみ生まれてくるもの。
本書は、新しい体験を通じて一度出来あがってしまった発達をリセット、新たな能力を形成する過程を体験させてくれます。確かに、本書を読んだ後では世界の見方が変わります。空を見上げると意識は空を突き抜け、宇宙の果てまで。膨張を続ける宇宙の縁にだって着いてしまう。この感覚は必ず仕事にも活きるはず。詰まった感覚からは詰まったアイディアしか浮かばない。
僕は気がつくといつの間にか同じような本を読み、同じような知識のみを追い求めてしまうようになっていました。それは効率的な理解を助けるものの、見ることのできる世界を狭めてしまう。いつも驚きっぱなしでは疲れてしまうけれども、たまには驚かなくちゃ。
息詰まりの感覚を破るきっかけをくれた本書。今では、またいろいろな種類の本を楽しむことができるようになっています。
ようこそ、新しい世界へ。
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