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本の紹介 - 任天堂 "驚き"を生む方程式

任天堂 “驚き”を生む方程式
井上 理
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 18873

任天堂はどのようにWiiやDSを生み出したのか。任天堂の歴史と舞台裏が驚きと懐かしさと共に感じられる一冊。

任天堂は今でこそWiiやDSでゲーム市場のトップを取り返しましたが、ほんの3-4年前まではニンテンドー64やゲームキューブで大きな失敗を繰り返しました。かくいう僕もスーパーファミコンで任天堂を卒業してしまったゲーマーの一人。

その任天堂がどのようにゲーム市場でトップの座を復権したのか。そのきっかけは、本書の冒頭に記されている岩田社長の一言に集約されます。

「僕らがもっと素晴らしいゲームをと頑張った結果、時間やエネルギーをゲームに割けない人たちが『もういいや』と、静かに立ち去っていたのです。調べれば調べるほど、これは本当に深刻だと感じました」

危機感。既存のゲーム市場に対する危機感でこの数年の任天堂は動いてきたといっても過言ではないと思います。

ニンテンドーDSから任天堂は良い映像を、より機能の高いゲームをと突き詰めていく路線から外れ、新たな道を見出しました。新たな驚きを作るという原点の道です。それを可能にしたのはゲームウォッチ、ファミコン、ゲームボーイを開発した頃には任天堂が確実にその手にしていた任天堂イズムでした。

本書が教えてくれることは、大げさに言うならば、生き方そのものです。既存の路線を踏襲することはリスクが小さく、仕事を確実にこなしている感覚を与えてくれます。しかし、それが結果として何をもたらすのかを考えずに既存路線で走ることは、身の破滅すらをもたらしかねないということ。

環境が変わったら、自分も変わる必要がある。しかし、変わることは恐いもの。その恐怖を打ち破るためにどのように任天堂がもがき苦しんだのかを知ることは、自分の生き方を決める上でも必ず役に立つはずです。

他人に幸せを与えるために生きる、全ての人に。

P.S.任天堂のキーマン、岩田社長が自身の考え方をほぼ日刊イトイ新聞で語っていました。これは、すごい会談です。

P.S.2 本書に載っている、「社長が訊く」。リンクでまとまっているものではなく、関連商品のコンテンツの一部として掲載されているものでした。
Wii
Wii Fit
任天堂で働くということ
Wiiソフト関連⇒任天堂のソフトをクリックすると「社長が訊く」があります。
DSソフト関連⇒同上です。

P.S.3 ここまで本書が素晴らしい一冊となったのは、任天堂というコンテンツの一冊に加え、著者が第三者の視線から冷静に、理知的に事実を積み重ねることによって作り上げていることによると思います。ノンフィクションの書き方としても学ぶことが多い一冊です。

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