ズレから生まれる新アイディア
新しい発見はどこから来るのでしょうか。
世の中には「どうやってこんなこと思いついたの!?」と思うようなものがあふれています。
その中には、完全に思いつきと言えるものもあるでしょう。しかし、「ヒットメーカー」と呼ばれる人たちがいることから、アイディアの生むためには方法があることも確かです。方法論がないと継続して新しいものを作り出すことができないからです。
今回はそんなアイディアの考え方を論理学から考えてみました。
Objective
論理からアイディアを生み出す方法を考える
Conclusion
ズレているから新い発見がある
Background
論理学は複数の要素を組み合わせてある一定のこと論証することを目的とする学問です。考え方の道すじの学問とも言えます。
論証の考え方には2種類があります。帰納と演繹です。帰納は個別のことを積み重ねることによって、より一般的なものを論証する方法です。一方、演繹は一般的なものから個別の事象を証明しようとする方法です。
演繹の論証は厳密なものです。そこには推測が入ってはいけません。推測が入ることは論証の強度を弱めることとなってしまいます。一方、帰納は演繹のように厳密にはできません。個別の事象から一般的な法則を導き出すことはある程度の不確実さが伴います。よって、帰納は演繹ほど強い論証力を持つことは構造的にできないのです。
しかし、その不確実さこそがアイディアの源泉なのです。特に、新しいアイディアが生まれるのは今までの法則では説明のつかないことが起こったときです。論理学者のパースはその際の考え方をアブダクションと呼びました。その考え方は以下のようなものです。
①Aという驚くべきことが発見された
②しかし、Bが事実ならばAが起こることは必然である
③よって、Bが事実である可能性がある
①から②、②から③へは厳密には論理的に繋がっていません。そこにはズレが含まれています。しかし、Bという新事実を発見することができる考え方として非常に有効な考え方です。
厳密なロジックからズレた時に新しい発見は生じるものです。たとえば、冥王星が発見されたのは海王星の軌道が法則からズレたことが原因だったそうです。そ のズレの原因を説明するためには既存の論理から外れたもの、つまり、冥王星の存在を仮定しなければならず、そのために冥王星が発見されたということでし た。
思えば少し前に話題となったラテラルシンキングも同じ考え方です。既存の要素の一部を意図的にずらすことで新しいものを発見しようとする考え方で、アイディアを発見するためひとつの方法でした。
論理の破綻から新しい発見がある。そのため、論理的であることはアイディア発見の第一歩であるとも言えます。アイディアの創造とは最も遠い学問であるように見える論理学こそが、最も近い学問であるかもしれません。
僕は考えがぶっ飛んでるってよく言われまけどね。。
ではではー
<もっと知りたい方に>
☆×5
なぜ、冥王星は発見されたのか。創造的な発見は演繹からも帰納からも生まれず、推測と仮説を含んだアブダクションからこそ真の発見は生まれると説きます。難しい理論なのだと思いますが、ニュートンやアルキメデスの発見といった有名な事例を活用し、分かりやすく説明されています。創造的な仮説が立てられるようになる一冊。
☆×4
論理学を本気で学ぶための第一歩です。普段意識しないで使っている言葉がどれだけの可能性を含んでいるのかを教えてくれます。会話でも論理的に話せるようになりたいならば、まず、ゆっくりと机上で考えることが大切です。正しい方向性を示してくれる信頼の一冊。
☆×4
論理思考はスポーツです。理論が分かっていても実際に動かないと。と、いうことで楽しく学べる論理の練習帳です。101の問題がまるで階段を一歩一歩上っていく感覚を与えてくれます。頂上に着いた時には、以前の自分が下にいたものだなぁと感じられるはずです。
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