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「ハゲタカ」に学ぶ日本更生

「腐った日本を買い叩け!」

主人公、鷲津の叫びは、日本という故郷への愛から出る言葉です。
もう、こんなに弱って良いいの?ニッポン。

実質成長率がマイナスの日本は、このままだとGDPで2010年には中国に逆転されてしまうという話も出ています(2008年GDPは日本:4兆9237億ドル、中国:4兆4016億ドル)。

理由はもろもろあるのでしょうが、このように弱っていく日本をなんとかしたいと思う気持ちは皆同じ。では、具体的に弱っていくとどうなるのか?まず、それを知ることが克服への第一歩。

ハゲタカⅠは2000年、ハゲタカⅡは2006年で、最新作のレッドゾーンは2008年の話です。それぞれの話が各年の経済状況を反映していて非常にリアル。

Ⅰでは弱った日本の中小企業の債権を買い叩くいわゆるベターオフと、企業を再生させて上場&債権回収を行う、ハゲタカビジネスの基本を垣間見ることができます。うーん。狙われた企業のオーナー、マジでかわいそうです。

ⅡではⅠのビジネスで力を増した鷲津のさらなる大きなM&Aを見ることができます。Ⅰでは純粋に経済原理に主眼が当たっていましたが、規模が大きくなることによって政治介入も多くなっていきます。社会的に影響のあるM&Aでの政治をも巻き込んだ駆け引きを見ることができます。

Ⅲではとうとうあの日本を代表する自動車会社が買収の対象となります。いや、笑っている場合ではなくて、本当に起こりえそうな話であるからコワイ。気を抜けば、チャイナマネーは世界を蹂躙しかねないまでに力をつけています。

以前、中国には金も人もあり、欲しいのは案件だ、と何かで聞きました。まだ、ビジネスの力が成熟していないためカネ余りの状態にあるのやもしれませんが、案件をも自分たちで作り出す力がついた時の中国に敵う国が現状無いのは明らか。

だから、ニッポンに残された時間は多くないのです。もっと、自国の経済をしっかり成長させなければ小説は現実となってしまう。

そんなリアルな危機感を持たせてくれる作品です。年明け、抱負を決める前に一読すれば、志が高くなること請け合いです。

ガンバレニッポン!

ではではー

<もっと知りたい方へ>

ハゲタカⅠです。まずはここから。ハゲタカは資本主義に基づいて動くものですが、心に信念があるからこそできるビジネスであるということが分かります。ストーリーを純粋に楽しむだけでなく、金融・経済用語も頻出する上、駆け引きについても多くを学ぶことができる内容の濃い小説です。

ハゲタカ(上) (講談社文庫)ハゲタカ(下) (講談社文庫)

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