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想いの無い英語の社内公用語化は失敗する

楽天に続いて、ユニクロも社内英語公用語化を明言しました。

英語を社内公用語としている会社は意外に少なく、トップが外国人の日産、旭硝子ぐらいしか思いつきません。

この社内英語公用語化、うまくいくのでしょうか。

1.ユニクロと楽天にいま英語社内公用語化は必要なのか
まず、必要性の話から。
ユニクロと楽天、グローバル企業を目指すと標榜している両社ですが、どれだけ海外で売り上げがあるのか見てみました。有価証券報告書で「所在地別売上高」や「海外売上高」が開示されていますのでそれを確認。

すると・・・

ユニクロ2009年8月期有価証券報告書セグメント情報より
20098

あら、日本がほとんど。。

楽天(2009年12月期)に至っては、日本宛の売上高が90%を超えているため、所在地別売上高、海外売上高ともに非開示とのこと。

あれれ。。

よって、両社ともに相当将来のことを見据えての行動だったということになります。

2.グローバル企業の状況
では、他のグローバル企業は社内公用語を日本語としているままですが、なぜなのか。
日本が誇るグローバル企業としては、たとえばソニーがあります。その収益構成を地域別に見てみると、

Sony 2010年3月期セグメント情報より
Sony_1003

おーキレイに4等分。

では、なぜ英語が公用語化されていないのか。

HPを見てみると、Sonyは1989年に海外子会社の外国人社員を役員としているため、役員会は実質的にこの時から英語化されたはずです。

この時点でトップ層は確実に英語でコミュニケーションを行う必要性が生じているのです。また、マネージャー層も海外での売上の増加に伴い、会議を英語で行う必要が生じているはず。そのため、英語効用語化という以前に既に英語でのコミュニケーションの必要性が生じているのでしょう。

では、英語公用語のSamsungの収益構成

Samsung Annual Report 2009/12 Segment Informationより
Sumsung_0912

おーさすが。米国と欧州で収益の50%を獲得しています。

Samsungは当初より自国内市場での十分な利益獲得が難しいとして海外での売上獲得を明確にしています。営業マンからそのサポートといったスタッフレベルでも海外でも互角に戦うだけの英語力が必要とされているわけです。英語公用語化は社内方針の明確化といったもので、それによって何かが大きく変わるといったものではなさそうです。

このように両社ともに必要に迫られて英語を使わざるを得なかったという実情が見えてきます。おそらく他のグローバル企業も、ニーズが先にありきで、その対応として英語を使うという手段が出てきたものだと思います。

3.楽天・ユニクロは何を達成したいのか
数年前、カンボジアに旅行に行きました。アンコールワット遺跡を見ることが目的でした。

アンコールワットに着いたときの第一声に驚いたことに今でも覚えています。
「おつかれさまです」だったのです。

ただ、驚いただけで終わりでした。結局、その一声の後に続いたのは写真買ってくれというジェスチャーだったから。売ることに必死で、これを買うとこんないいことがあるよーとか、旅の記念にーという相手を思いやる気持ちが無いのです。だから…売れない。

楽天やユニクロの英語への施策をこの話と同列に扱うのは大変失礼なことだと思いますが、本質的には同じことをしてしまわないか心配。つまり、英語ばかり上手くなってビジネスをするという目的を見失っていないかということ。

相手のことをもっと知ろうと思ったら、相手の言葉に気を遣うようになるのは当然です。好きな人ができたら、その人のことをもっと知りたいと思うようになるようなものです。ビジネスだってある国の人に売ろうと思ったら、その国の人のことを知ることが一番大切じゃないですか。

ある国の人のことを知るためには、その国の人と付き合うのが一番。ということで、社内英語公用語化よりも、販売先市場の現地の方を雇う方が先だと思うんですよね。そうすると必然的に社内のミーティングも英語か現地語で行わざるを得ない。

楽天・ユニクロの社内英語公用語化に反発が大きいのは、おそらく現在では大半の人がその必要性を実感していないからだと思うのです。トップ層はヒシヒシと感じているのだけれども、それがある階層より下には伝わっていない。だから、手段としての英語が目的としての英語になってしまう状況となりつつある。

4.結論
楽天・ユニクロは現在、トップ以外の人たちにが英語の必要性を実感する機会があまりありません。まずは、必要性を実感させることから始めるべきです。Sony、Samsungといったグローバル企業は必要に迫られて選択したのが英語化でした。

そのためには、楽天だったら中国人、ユニクロだったらアメリカ・欧州人をもっと雇用して沢山議論すればよいのです。相手のことをもっと理解するために。その方が効果があり、コストも安く済み、しかも皆必死になるはずです。

でも、組織のマネジメントって難しいですよね・・・

ではではー

<もっと知りたい方へ>

英語「を」勉強するからダメなんだ

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投稿: モバゲー | 2010年7月29日 (木) 03時39分

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