海外から稼がないとどうしようもないじゃないか -会計的ニッポン株式会社考
国が豊かになるってどういうことだろう。
昨日のtwitterで「ケインジアンモデルへの挑戦」という英語のエントリーを紹介しました。経済学は流派によって経済への視点が異なります。需要を重視する流派、供給を重視する流派、財政政策を重視する流派に金融政策を重視する流派。さまざまな視点から今起こっていることを正確に理解し、将来につなげようとします。
会計だって同じ。日本のように活動の成果としてPLを重視する考え方がある一方、IFRSのように企業の価値を示すためにはBSの方が大事とする考え方もあります。こちらも目的はひとつ。企業の状況をより正確に財務諸表に反映させたいということです。
考え方は違えど、皆の心はひとつ。正確な情報を把握し企業を、国を豊かにしたいということです。では、再度冒頭の問い。国を豊かにするにはどうすればよいのだろう。
会計的に考えてみます。会計上、豊かさ=利益は下の式で表されます。
利益 = 収益 - 費用
この利益の最大化が問題となるわけで、そのためには収益を上げるか、費用を下げるかしかないわけです。この先は一度収益に絞って考えてみます。
ニッポン株式会社の収益を考えるときに問題となるのが連結という概念です。連結とはグループを全体として一社として考える考え方です。親会社から子会社に対して物を売ったとしても、それはただの保管場所の移動にすぎないため、収益が上がったとはみなされません。
もっと身近な例として、家族をひとつの会計の単位だとします。すると、お父さんが会社から稼ぐことで家族としてのお金が増えます。そのため、会社からもらう給料は収益です。一方で、こどもがお父さんからお小遣いをもらっても、家族として持っているお金は増えないので収益とはみなされません。
今度は、単位を大きくします。ニッポン株式会社を考えた場合、日本にある会社が日本人に対して物を売ったとしても、ニッポン株式会社の中でのお金と物のやりとりなので収益とはみなされません。ニッポン株式会社の収益が上がるのは、海外に対して物を売ったときだけです。
このように、収益の観点から考えると、日本が豊かになるためには海外へと物を売らざるを得ないはずなのです。
だから、僕は、「内需主導の経済回復」という言葉が何を意味するのかよく分かっていません(おそらく、費用の観点から考えればよいのではないかとは思います)。
お隣、韓国はもっとはっきりしています。自国内での商売だけでは今の経済水準を保つことができないため、海外に物を売るしか活路がありません。ただ、その結果、GDPの30%をSansung、LG、Hyundaiの3社で稼ぎ出すジェットコースターのような構造になってしまっているとのことですが。。
国が今より豊かになるためには、海外に対して物を売るしかないのではないか、というお話でした。
ではではー
<関連エントリー>
究極の少子化対策-その名は鎖国

| 固定リンク
「できればディープに考えたい!」カテゴリの記事
- その仕事を選ぶ理由 - How & What(2012.12.09)
- 良いレビューとは何だろう?(2012.03.09)
- 【ダイバーシティ・プロジェクト】内田氏×勝間氏対談講演(2011.11.06)
- ジョブズが最後に壊したもの(2011.10.15)
- 現代技術と知的生産(2011.03.10)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント