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誰がために鐘は鳴る。~商品コンセプトの重み~

商品を創る時に必ず気をつけるべき教訓。

日経新聞を見ていると、書評の特集が組まれていました。おおっと思って見てみると、「ものづくりの寓話」をベタ誉めしていたのです。評価者のお一人は「もう決定版で殿堂入りだね!」的なコメントを出しているほど。で、どれだけスゴいのかと思って読んでみました。

 

ものづくりの寓話 -フォードからトヨタへ-
和田 一夫
名古屋大学出版会
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あぁ、なるほど。評価されるなぁと思わせる力作。

病的に細かいデータ、関係者からの終わりのないヒアリング、産業の歴史的変遷を丁寧に拾った考察。どれだけ時間をかけてこの本を創ったのだろうと思わせる一冊でした。山崎豊子が学者になって、ひたすらトヨタに張り付いたらこんな感じの大作を仕上げてくるのではないでしょうか。

ところで、この本を買いに行った時に偶然隣に置いてあったのが橘玲さんの新作、「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」。金融・税務に関する深すぎる知識とクールな視点を活かした物語を書く作家さんです。

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法
橘玲
幻冬舎
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たまたま、時期的に2冊を読み比べる結果となって、思ったこと。それは、商品コンセプトが明確な商品は評価されるんだなぁということ。

「ものづくり~」は時系列でひとつひとつ着実に考察を重ねる本です。時系列は厳密な思考をする時にとても役に立つフレームワーク。でも、一般の読者を対象に時系列で語られてもちょっと眠い。なので、完全に関係者か学者用の本です。

一方、「残酷な~」はガツンと自己啓発の女王・勝間さんの話題から入ってきて、様々な今昔の話題を拾いつつ未来に繋げるという構図。ぐぐっと読者の心を掴んで、闇の奥深くまで引きずり込むような本です。議論の精緻さではむむむ、ですが、一度立ち見した読者の手から離れない。

2冊の違いは一言でいえば狙っているお客さんの違い。「ものづくり~」は6200円という値段からも、ほとんど一般読者なんて相手にしていない。でも、とてもとてもとても正確精緻なので学術本として高く評価される。一方、「残酷な~」の目的は、表紙でお客を引き止め、まえがきで心を掴み、そのままレジへ持って行かせること。そのため、最初の方は全てインパクトのあるストーリーで固められています。

その結果、「ものづくり~」は日経新聞に評価され、「残酷な~」は売上で評価される。

誰を相手に、どのように売るのか。とても勉強になった読み比べでした。

たぶん、この2冊を比べる人っていないと思うのですけど。

ではではー

<もっと知りたい方へ>

<不良>のための文章術 (NHKブックス)
永江 朗
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狩りのための文章術。売れる文章とは何なのか。プロのライターが教える、物書きの基礎の基礎。実行にはそれなりの覚悟と経験が必要なのですが、方法論として押さえるべきです。おいしくない料理をそれとなく伝える技術なんて、日本企業では必須では?

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