【会計士のマネセン4】-今日は明日よりずっとずっと大事です
今年も今日が最後の日となりました。皆さんの一年はどんな年でしたでしょうか。
連載にしようと思っていた会計士のマネセンも、途中の繁忙期や大学院受験などでのびのびになってしまいました。今回は、反省の意味も込めて今日という日の大切さ、今という時間の貴重さについてのお話です。
私たちは今日できることも明日、明後日とついつい延ばしがちです。
明日できることを今日するなとも言いますし、ちょっと明日がんばればすぐに取り戻せる範囲ですしね。そう、ほんの小さな失敗にすぎません。
…ですが、この先延ばし、実際には結構コストがかかっているかもしれません。
<ケース>
あなたは1年間で手元のお金を2倍に増やしたいと考えています。お金が減ることがないとすると、毎日どれだけ手元のお金を増やせば1年間で2倍になるでしょうか。お金は一定の割合で増えてゆき、前の日に稼いだお金も使って増やすこととします。
選択肢
①10%ぐらいかしら。
②いや、15%以上だよ。
③え、実は5%未満かもしれないな。
☆☆☆
如何でしょうか。
正解は、0.2%です。有名な問題ですが、初めての方は「えええ!?そんなに小さいの?」と思って頂けたのではないでしょうか。
これが、「複利」の力です。
意思決定の時には、この複利の力も考えて将来起こることの価値を考えてあげる必要があります。このような考え方を「貨幣の時間価値」を考慮すると呼びます。
貨幣の時間価値とは
貨幣の時間価値とは、貨幣は複利でお金を創りだす力を持っているので、今の貨幣の価値は将来の貨幣の価値よりも高いとする考え方です。
例えば、銀行にお金を預けた時に、1年後に5%の金利が付いて返ってくるとすると(バブル時代ですね)、今の100円と1年後の105円は同じ価値を持っていると考えることができるのです。
つまり、今お金を持っているということは、将来同じお金を持っている場合よりも価値があるということです。
逆もまた然りです。今お金を使うということは、途中もらえるはずの金利を犠牲にすることなります。そのため、将来において支払った金額と全く同じ金額が返ってきたとしてもそれは損なのです。何もせずにもらえたはずのお金、上の場合ですと5円を超えるお金を1年後に上乗せしてもらえる行為だけが成功した投資であったと言えます。
ちなみに、上の例をもう少し将来まで考えてみますと、今の100円は10年後の163円と同じ価値になります。先に延びれば延びる
ほどこの差は大きくなり、20年後には265円、30年後には432円にもなってしまいます。10年後の1.5倍、30年後の4.3倍の価値と今の価値は同じということです。
貨幣の時間価値理論を活かすには
貨幣の時間価値理論はとても大切なことを教えてくれます。それは、将来のBestよりも今のBetterの方が価値が高くなることがあるということです。将来のことを今のことと比べる場合には、「複利」で割り引く、つまり、今の価値に直すために価値を小さくして考えてあげる必要があるからです。
冒頭のお話で言いますと、少しずつ明日、また明日とものごとを先延ばしにしていくと、複利の力で将来には想像もつかないような大きな結果として表れてしまうことになります。
やはり逆に考えてみれば複利の力は素晴らしい結果ももたらします。ケースの例で考えた場合、毎日たった0.02%でも進歩することができれば、1年後には2倍の力をつけた貴方が待っているのです。
コツコツの積み重ねが1年後には2倍になって返ってくる。
なんだか夢のある話ではないでしょうか。
結論 -迷わず今やろう!!
そう、結論は迷わず今すぐやろうなのです。私たちの「今」という一瞬は将来の大きな結果を生むためのとっても大切な土壌なのです。
毎日少しずつ。一歩一歩確実に。
簡単なようで、難しいことです。
ですが、遠くに行くためには一歩一歩の積み重ねしかないのですよね。
がんばりましょう。
☆☆☆
会計士のマネセン、如何でしたでしょうか。まずは4回やってみようと思い、始めた企画です。
会計というと、どうしてもお金と切っても切り離せないものではあります。ただ、会計が究極的に目指しているものは、「意思決定のお手伝い」なのだと僕は考えています。
会計はそれ自体が人を幸せにすることはありません。会計はただの鏡です。ありのままを映すことを目的とする鏡。
それは、映る人にとって不快かもしれません。ですが、ありのままを映すことによって初めて映る人は現状を認識することができます。その認識に基づいて意思決定をするべきなのです。
意思決定は全ての人が毎日繰り返しています。朝起きて歯を磨くことも、好きな人に告白することも、会社で経営資源を投下することも全て意思決定の結果です。私たちの人生は意思決定の積み重ねで彩られてゆきます。
その意思決定のために歪みを取り除いて、最高の意思決定を行うお手伝いをする。それが会計の目指すところだと思います。
そして、僕は意思決定の問題である限り、それがどんな種類のものでも会計の考え方は使えるものだと考えています。だから、お金に関することに囚われず、いろいろなところで、「あ、こんな話もあったな」と思い出してもらえたら、と思いながら連載してみました。
このエントリーが、少しでも貴方の意思決定のお役に立てれば幸いです。
決めることを楽しめる貴方に。
ではではー
良いお年を。

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