もし新社会人に1冊だけ本を薦めるならば
たくさんの期待と少しの不安を胸に、今年も新入生が社会人の仲間入りをする季節となりました。今年はどんなコが来るのかと楽しみな季節でもあります。
では、そんな新入生の皆さんに、たった一冊だけ先輩風を吹かせて本を紹介するとしたら、どの本を紹介するかなぁと思って考えてみました。
結論は、こちら。
ダイヤモンド社
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仕事上の文章の書き方として定番とされている本ですが、それ以上に僕はコミュニケーションのあるべき姿が書かれていると思います。
組織で生きるために一番重要なのはコミュニケーション
僕が新入生として会社に入ったときに一番最初にビビったのが、話が通じないことでした。先輩が、上司の方々が何を言っているのか全く理解できないのです。その上、自分が考えていることも上手く伝えることができずに、様々な方に迷惑をかけました。
会社とは組織です。皆で集まることによって、一人ではできないような大きなことを目的としている集団です。だから、組織として目的を達成するために、皆がお互いを理解して協働する必要があります。このことが、組織の中で生きることの難しい部分であり、面白い部分でもあります。
コミュニケーションが難しい理由を考えると、下の3つなのではないかと思います。
1. 人によりバックグラウンドが違う(持っている情報が違う)
2. 利害が対立する
3. メッセージが明確ではない
1.はそれぞれの生き方に、2.はそれぞれの立場に起因するものなので部分的しか解消できません。そのため、僕はどんなにがんばっても完璧なコミュニケーションというのはあり得ないと考えています。ですが、メッセージを明確にすることで、少しでも完璧に近づくことはできるとも信じています。
メッセージを意識するということ
コミュニケーションの際には情報を送る時も受け取る時も、メッセージを意識することが一番大切です。コミュニケーションは、送る側のメッセージを、受け取る側が理解することで完成します。そのため、送る側は自分が何を伝えたいのかをはっきりと理解していることが、受け取る側は相手の伝えたいことは何かを考えることが必要となります。
話をする時や文章を書く時に、「自分は何が言いたいのか」を意識して発信する時としない時では明らかに伝わり方が違います。同じように情報を受け取る時も「相手は何が言いたいのか」を意識することは理解の効率を上げてくれます。
そんな情報のやりとりの形として、冒頭の本ではピラミッド型の構造が勧められています。ピラミッド型の話の構造とは、一番言いたいことであるメッセージを頂点に、それを様々な情報が下支えするような構造です。
聞く時、読む時にこそ意識しよう
このピラミッド型の意識、自分が発信をする時にはなんとか意識することができるのですが、受け手になると難しさは一段増します。受け取る側に立つとついつい楽をして、相手が説明してくれるのをただ聞いているだけの状態になりがちです。文章を読むときに字面を追っているだけになってしまっていることはよくありませんか。それも、受動態になっているから起こってしまうことです。
年次が低いときは指示を受ける機会の方が多いもの。上の人が何を言っているのか、先輩は何のためにコミュニケーションしてきているのか、この文章は何が言いたくて書かれたのか、そんなことを意識して聞くことの方が大切だと思います。
ちゃんと、相手のメッセージを捕まえることができていれば、少しぐらい指示が曖昧であったり、内容が難しかったりしてもなんとかなるものです。逆にメッセージを全く理解できなければ、質問する必要があることに気づきます。メッセージを捕らえることを繰り返していれば、「あいつは話の理解が早いやつだ」、と評判も上がっていくはずです。
結論 - コミュニケーションは難しいからメッセージを意識しよう
偉そうに書きましたが、本当にコミュニケーションは難しいです。僕は何回も何回も失敗して、その都度様々な人に迷惑をかけ続けています。ですが、組織の一員として働くからにはコミュニケーションは決して避けられませんし、上手くできた時は皆との意識の共有を感じられる本当に嬉しい瞬間でもあります。
僕は冒頭の本を毎年4月になると読み直しています。単なる文章術を超えた、コミュニケーションの本質を伝えてくれる良書です。
もしお持ちでなければおひとつ。
ではではー
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