Evernoteのカードとしての使い方
以前のエントリ「そうかEvernoteはカードだったのか」で書いたように、Evernoteをカードとして使うことに気づきました。それからだんだんとカードとしてのEvernoteの使い方に慣れてきましたので、一度まとめてみたいと思います。

Card Catolog / a trying youth
なぜカードとしてのEvernoteなのか
Evernoteは何なのかを考えてみると、自分というフィルターを通した情報を保存する場所と言えます。Evernoteに保存されている情報は、過去の自分が興味を持ったものたちです。
Googleとの比較で言い表すならば、Googleはみんなに会いに行くものだけれども、Evernoteは過去の自分に会いに行くものと言えそうです。
一度自分というフィルターを通した情報は、全く知らない情報よりもずっと使いやすいです。過去の自分が面白いと思ったものなので、今見てもやはり面白いですし、材料として使いたいと思えるものがたくさんあります。
今の自分がするべきなのは、過去の自分が用意してくれた素材を使って新しい料理をすることです。そのためにEvernoteをカードとして使うことが良いと考えています。
ちなみに、僕はブログのクリッピングに関して、「Evernoteでブログデータベースを作ってみよう!」で書いた方法を今も続けています。一時期は全自動化も考えたのですが、少しメンドクサイ方法の方が情報の選別に厳しくなるかなぁと思ったからです。
カードとして考えるとどんな良いことがあるのか
カードとしてEvernoteを考えると、情報の関連性に興味を持つようになります。積極的に情報を組み合わせようとするのです。
Evernoteに入っている情報は断片です。それだけでは素材が持っている良さ以上のものが出てきません。新しい知識は既存の情報を新しくつなぎ合わせることによって生まれるものです。
1960-70年代に、知識生産業のためにカードシステムが流行しました。情報をノートではなくカードに書き留めることによって使える状態にキープし、カードを分類・整理することによって新しい視点や思考を生み出そうとする方法です(この時代の本を読み直した時のエントリーはこちら)。
情報があふれる現代、カードシステムは以前よりさらに重要な考え方となると考えています。そして、そのシステムのプラットフォームがEvernoteなのです。
カードとしての使い方1/3 - ノートの作成時
カードとしてEvernoteを使うためには、ノートの作成時に少しだけ注意した方が良い点があります。
1. タイトルがノートを要約していること
2. ノート内に情報ソースを書いておくこと
3. ノートに作成時間を書いておくこと
この3つを注意するだけで、あとからノートを見直す作業がグッと効率的になります。この様式を満たすためには、iPhoneアプリのFastEverが便利です。
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FastEverではノートの作成時間がワンタッチで入力でき、しかも、一行目が自動的にタイトルとなるという機能があります。あとは、情報ソースを書くようにしてあげればカードとしての形式は完璧です。
カードとしての使い方 2/3 - タグと検索でつなぎ合わせる
カードシステムを支えるEvernoteのポイントは2つです。ノートブック・タグによる意識的な情報の整理と、検索による無意識の区分です。
Evernoteのノートブック、タグをどのように分類するのかという問題は永遠の課題。これは、人によって違って然るべきだと思いますが、僕はノートブックを情報ソース、タグを情報の種類に分けています。こうすると、何から得た情報からなのかと何に関する情報なのかが一目で分かります。
整理・分類は単純作業ではなく、とても知的な作業だなぁと思います。
一方、無意識の情報のつなぎ合わせには検索が役に立ちます。
Evernoteの検索機能は優秀です。自分では気がつかなかった様々な情報を見つけてきてくれます。検索によって情報間の関係性がフォローされ、新しいつながりが浮かび上がってきます。
また、Google Chromeの拡張機能である、"Clip to Evernote"を使えば、Googleの検索時にEvernoteも検索してくれるようになります。これはスゴい。この機能のために、FirefoxからGoogle Chromeに乗り換えたぐらいです。
意識的に、無意識に、ノートを結びつけること。それが新しい知識を生み出します。
カードとしての使い方 3/3 - KJ法による文章化
KJ法をご存じでしょうか。名前は聞いたことがあるという方が多いかもしれません。川喜田二郎氏が発案した思考の方法です。KJ法は数多くの情報を一つのメッセージへと昇華させることに向いています。
Evernoteに保管される情報は様々です。ブログであったり、Tweetであったり、アイディアの断片であったり。そんな思考の破片をつなぎ合わせることを可能にす るのがKJ法です。
KJ法のためのツールとして一番おすすめなのが、IdeaFragment2です。このツールによって、PC上で思考片をこねくり回すことができます。
この図は、IdeaFragment2でこのエントリーの下書きをしたものです。このように、多数の思考の断片をいくつかのグループにまとめて視覚的に表示することができるツールです。
KJ法については、ぜひ、「発想法」、「続・発想法」を一読してみて下さい。KJ法に込められた単なるツールとしての役割を超えて活躍して欲しいとする著者の願いとともに、素晴らしい思考法が得られると思います。
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まとめ
ずいぶんと長くなってしまったので最後にまとめて終わりにしたいと思います。
1. Evernoteは過去の自分に会いに行くもの
2. 情報を結びつけることによって新しい情報を作ることができる
3. Evernoteをカードシステムと考えると情報を結びつけやすい
4. 結びつけ方には意識的な整理と無意識の検索がある
5. KJ法で文章にまでまとめる
さまざまな方々のエントリーを見ていて、Evernoteに保存する技術は成熟した感じを受けます。次は、Evernoteによる発想やアウトプット法に流れが向かっていくと面白いなぁと思っています。
ぜひ、カードとしてのEvernote。お試し下さい。
ではではー
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コメント
ググって、このブログ記事がヒットしました。
URLにございます当方のブログ記事でリンクを貼らせていただきましたが、支障あれば、サクりますので、メールください。
ブログ記事、Evernoteクリップもさせていただきました次第。
今後とも宜しくご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
投稿: 佐藤由加理 | 2020年8月 8日 (土) 02時07分
はじめまして。EvernoteTwitterから飛んできました。
カードとしての使い方、非常に面白く読ませていただきました。
事後報告になってしまいますが下記記事でご紹介させていただいたのでまずはご挨拶まで。
http://bit.ly/fUBrLl
投稿: ラキ | 2011年4月 6日 (水) 18時43分