短期的価値観と長期行動の時間的不一致
3.11はいろいろなものを変えてしまいました。物理的にも、精神的にも私たちに深い痕を残しました。その中で特に今回は価値観に対する影響について考えてみます。
インパクトのあることが起こると人の気持ちは大きく揺れます。その振れ方は、最初は大きな揺れで、次第にだんだんと、ゆっくりもとの振れ幅に戻ってきます。この動きは価値観でも同様です。普段は考えもしなかったことに重きを置いて、いつもなら大切にしていることを非常時だからとないがしろにしてしまいます。
為替でよく使われる言葉に「オーバーシュート」という言葉があります。ある出来事が起こり理論上のレートから大幅に外れた動きをすることです。今の日本人の心は、まさにオーバーシュート中ではないかと思っています。
この時には普段の軸から大幅に離れたことをしがちです。その行動が買いだめのような一時的なことならあまり問題とはなりません。短期的な心の動きと行動の時間軸が一致しているからです。
一方で、この大きく振れている時に長期的に影響を与えるようなことをする場合には、もう一度自分が冷静なのかよくよく考え直した方がよいと思うのです。短期的に大きく振れた自分の心が、本当に自分の価値観と合っているのかに疑問があるからです。つまり、短期的な心と長期的な行動という時間軸がずれている状態です。
人によって本当に様々な意見があると思いますが、僕は今の社会の価値観が安全重視に偏り過ぎではないかと思います。そして、過度に安全に偏って考えることが将来の幸せをもたらしてくれるのか、少し疑問です。安全にもコストが掛かるので、そのコストに見合った幸せを感じられるのか分からないからです。
今回の地震はブラックスワンではありませんでした。ベルカーブという系の中で極めて端の事象が起きたと考えて良いでしょう。
そのため、対応もベルカーブに基づいたもので良いと思うのです。つまり、発生確率にインパクトを乗じた影響度に見合った対応です。僕の感覚で言えば、「いつかどこかで地震があることを忘れない」ということです。
岩手県の釜石に「てんでんこレンジャー」がいるそうです。中学1年生で結成された、地震の時の行動を教えてくれるレンジャー隊です。彼らの活躍、そして、普段からの徹底した避難訓練の成果もあり、釜石ではこどもの犠牲者がゼロだったとのことです(リンク:広域首都圏防災研究センター)。
心が大きく振れている今は、長期的な視点の投資の話ではなく、このような活動の普及が理論的な対応ではないのかなと感じています。ただ、あまり時間をおくと現状維持のバイアスも生じてくるので、長期的な話をするタイミングはとても難しいとも感じてはいます。
偏った考え方をしないように、できるだけ冷静でいたいです。
ではではー
参考書籍
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