やらなかったことは、やったことと同じぐらい誇っていい
"Say no to 1,000 things." やらなかったことにも、もっと光を。
crossroads Photo by boris_licina
ビジネススクールで学ぶことは大別すれば2つです。価値を作る方法と、それを持続させる方法。ビジネスはこの2つの要素から成り立っています。今回は後者の持続させる方法についてのお話です。
「親しみやすいセレブ」の否定
勝間さんの「利益の方程式」で、利益とは他の人が追いつくまでのアドバンテージという趣旨の記載がありました。確かにその通りで、他の人が追いつくことができない状態でのみ利益は生まれます。
では、他の人が追いつくことができない状態とはどのような状態なのかを考えると、何かで際立っている状態なんですよね。
アイディアベースのビジネスが長続きしないのは、この何かで際立っている状態をキープできないからです。この「何かで継続して際立ち続けるためにはどうすれば良いか」を考えるのが戦略の勘所です。
僕の戦略観は戦略=トレードオフです(リンク)。何かで際立ち続けるためには何かを捨てる必要があります。生み出している価値と合わないことはやめなければいけないのです。
例えば、最高のものを安くというコンセプト。これは消費者からすれば当たり前に嬉しいことなのですが、作り手としては矛盾します。安くすることはどうしても良いものを作ることの阻害要因になるわけで、価値と持続性に衝突が生じてしまいます。
もっと身近な例で言えば、親しみやすいセレブというブランディングでしょうか。どんな人になりたいのか想像すらつきません。
このように、コンセプトと活動は時に相反してしまいます。そのため、やらないことを決めるということがとても大切になってくるのです。
教えてもらえるのは付加と改善だけ
にもかかわらず、僕の人生を振り返ってみると、ほとんど付加と改善だけを学んできた気がします。例えば、学校の成績は全科目でまんべんなく良い成績を取ることが求められているわけで、全てが平均的に優秀だった人が最も評価されるシステムです。
でも、個人として世界を変えている人は、大学を中退した人、そもそもの教育システムを拒否したような、1つの価値を突き詰めた人だったりするわけです。
そんな偉人たちはどこかで「まんべんなく」をあきらめています。無限にあった可能性、自由にどこかでNoを言っているのです。そして、その選んだコンセプトに合うようにその後の行動を決めています。だから、際立つ。
改善と付加だけでは到達できない領域があるのです。
1,000の可能性と1つの結果
Say no to 1,000 thingsは、1つのコンセプトを創り出すために1,000の選ばれなかった可能性たちがいること、1つの価値を創り出すために1,000の選ばれなかった方法があることを意味しています。
何をすれば際立つのかを裏返せば何をしてはいけないのかに繋がります。この捨てたものも価値を支える大切な要素です。
今までは結果として見えているものにしか興味を示さなかったのですが、それを構成している1,000の採用されなかった可能性にもとても価値があることに気づきました。何を達成「しなかったのか」ということは、積み上げれば何を達成したのかと価値が等しいのです。
実現しなかった可能性、価値と合わない活動をやめること。そんな「取り除くこと」も正しく評価すること。それが、持続的な優位性を生み出すために大切なことです。
オペレーションの改善ももちろん大切です。ですが、やらないことを決めることは大きな価値を生み出すためにもっと大切なことなのではないか、と思います。
やめることって勇気が必要なんですよね。。やること以上に。
ではではー
東洋経済新報社
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