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ジョブズが最後に壊したもの

時間が経って、なんとなく分かってくることもある。

Apple
Apple Photo by 130shin

 

僕は今、仕事をしながら大学院に通っている。

この生活には二人恩人がいる。一人は今の恩師。恩師が情報発信していなかったら、少なくともこうやって生きる選択肢を選んでいないだろうし、もしかするとそんな選択肢があることを僕は考えもしなかったかもしれない。

もう一人が、僕にその出会いをくれたiPhoneを創ったジョブズその人。iPhoneを初めて手にして以来、すっかり僕はAppleのファンになった。だから、このエントリーでは感謝の意を込めて、なぜジョブズがこんなに愛されるものを創ることができたのかを考えたい。

 

創造と破壊


ジョブズは創造的でビジョナリーだ。ジョブズを一言で言い表すと「ビジョナリー」と答える人が多い。

けれども、以前のエントリーにも書いたように、ビジョンを実行する組織を創ったことがすごかった。ビジョンはあくまで将来ありたい姿でしかなくて、それを実行に移せる力がなければ夢想でしかない。だから、ジョブズが示したのは、単にビジョンを創る力ではなくて、起業家の理想的なスキルのセットだったと思っている。

でも、僕がもっとすごいと思うのは、ジョブズの壊す力だ。

とにかくジョブズは何でも壊した。業界の慣習、使いづらい製品。でもそれだけではなくて、過去の自分をも壊した。そう、ジョブズが最後に壊したものは、自分のビジョンだった。

iPhone提供キャリアの制限、Macをハブとした製品ポートフォリオ。最後に壊したものは、全てジョブズがAppleに戻ってきてから創り出したビジョンだ。自らが創り上げた成功の体験を全て自ら壊していった。それが、Appleが革新的な企業として評価される根本的な理由だ。

 

壊す力


そう、壊すこと。それが必要なんだ。限られた資源で新しいものを創りたいと思ったら、昔のものは壊されなければならない。

最後にジョブズは自分の創り上げた世界を、限りなくフラットにして去って行った。それは未来は君たちが創れと言っているように僕には聞こえた。また、新しいものを創る土台を最後にプレゼントしてくれたようにも見えた。

新しいものを創るチャンスをもらった僕たちは、またさまざまなものを創り上げるだろう。けれども、それらもいつかは壊されなければいけない。過去の自分をすら壊す力。それが、次の新しいものを創る力だ。

壊す力と勇気を教えてくれたあなたへ言うべきは、ありがとうではないのかもしれない。

I will show you.

 

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