あらたな視点を見つけたい!

年末に読みたいKindle本7選

今年ももう終わり。少し時間のとれる年末に読みたい「しっかりした」本たち。

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5145393141_ffb6f64c9b_n Photo by 130shin

 

今年はKindleがある!


祝・電子書籍元年!今年は本当に電子書籍が「使える」ようになった年でした。如何でこの流れに逆らおうか。今年は電子書籍で年末読書を満喫する日々です。

そこで、今回は年末に向けて面白そうっ!と思った本たちをリストアップ。仕事始めまで十分楽しめそうです。

ちなみに、ピックアップの基準はだいたい以下な感じで集めました。

  1. 個人的な興味
  2. レビュー件数がある程度集まっている
  3. 評価平均がそこそこ高い

 

と、いうわけで本のリスト


寝ながら学べる構造主義

現象に着目するのではなく、その現象を起こした背景としての構造に着目してものごとを考える構造主義。普段の生活に一段深い目線をくれるはず。

 

理性の限界

会社員から学生、科学者に運動選手がディベートを繰り広げることによって理性の限界とは何かの理解を深める冒険の書。ひとつのことに対して、さまざまな視点からアプローチする方法を知るために。

 

生物学的文明論

ヒトがヒトらしく生きるとは何なのか。生き物のカタチ、大きさ、生活にはそれぞれ意味がある。相互の関係性の中から、では人間らしい人間は何かを探る生物学の挑戦。

 

三国志

英雄とは何なのか。風雲吹き荒れる乱世で頭角を現す人物とはどんな人間なのか。時に洗われた物語、心打つ表現。果敢な生き方をすべしと思い出させてくれるシリーズ。

 

国家の品格

レビュー数651はダテではなく、レビューも5から1まで100ずつ割れている話題作。意見が割れるということは、それだけ内容が刺激的ということ。時間があるときだからこそ内省を促す一冊を。


政府は必ず嘘をつく

かたや、世の中は理想では動かないわけで、現実に目を向けることはもっと重要。事実としての現場を見ずに理想を語っても夢は夢。地に足ついた議論の大切さを知るために。

 

世界で勝負する仕事術

職業人として最先端で戦い続ける仕事人の手記。刻々と変わる環境、毎日が頂上決定戦。短距離走の走り方でゴールの見えないマラソンを走る環境の中で、生き抜く仕事術を知るために。

 

みんなでキュレーターになろう!


電子書籍はこれからどんどん当たり前になるでしょう。一度電子書籍での本の買い方に慣れてしまうと、本屋さんにまで足を運ぶのがおっくうになってしまいます。今は本の数が少ないので選択の余地が少ないのですが、今後爆発的に様々な種類の本が電子化されることになると思います。自費出版から絶版本の電子化まで、その幅は計り知れないわけです。

すると、音楽配信と同様の流れが起こることになります。良い本を勧めてくれる実際の店舗が廃れてしまい、皆がランキングで同じものをばかり購入するという状況です。そこで期待されるのがキュレーター。面白い本を独自の視点でピックアップしてくれる人です。

人にオススメされた本を僕はすぐに買ってしまいます。本にはその人の考え方が垣間見えるので、面白い人のオススメしてくれる本ならなおさらです。一億総キュレーター。本当にそうなるといいなー。

つまり、面白い本があったら教えて下さい!、ということです。

ではでは、良いお年をー

 

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発表会を持とう!

習い事はなんでも発表会を持つべき、というお話。


EPL10502.JPG / Blue_Ray

 

習い事はスムーズには成長しない


習い事をしていると、最初は急激に伸びている自分を感じることができます。もう、それはグングン伸びているのが分かる感じ。気持ちよく成長できる段階です。

それが、いつの間にか踊り場に差し掛かかります。あんなに楽しかったことが、あんなに伸びていると感じられたことが、とたんにつまらなくなったり、成長を感じなくなったりするものです。

これを打開するのが、「発表会」です。この修羅場を潜り抜けなければ次に行けないという、崖。言い換えればボスキャラ的なものです。これをところどころに設定しましょう。

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Blank Photo by 130shin


本気のシチュエーションでなければ学べないことがある


発表会は本気でやるものなければいけません。本気というのは、負けたら本当にツラい思いをするという意味です。「負けてもいいや」というものは発表会ではありません。

この発表会で上手くいくか上手くいかないかという不安と戦いながらスキルを磨くというのが、崖を目前とした時に一番伸びるやり方だと思います。

発表会はそれこそ本気になれるのなら何でもいいのです。テストだって、普段の仕事だって、本当に発表会だって。とにかく、不安を感じるぐらいに本気になるような機会を造ることが大事です。

 

発表のために必要なスキルが見えてくる


発表会を設定することによって得られるものは、発表の時に必要なスキルが自分に備わっているかを見直すことができることです。つまり、今の自分の能力を客観的に見直すことができること。

これは、プレッシャー下でないとやらないことです。自分の伸ばしてきたスキルを一度丁寧に見返して、欠けているところ、伸ばすべきところを見つけること。それが次のステージの成長の糧になります。

このボスをやっつけるためには何が足りないのでしょうか?何が自分のスキルの中で必殺技として使えるものなのでしょうか?

 

まとめ - 本気の「発表会」は成長のために欠かせないもの


学ぶことはそれだけで楽しいものです。ただ、前の自分に届かなかったステージに進むためには、ジャンプが必要です。強制的に自分をジャンプさせてくれる機会、それが発表会です。

いつの間にか成長が止まるというのは、前のステージを十分にクリアできるほどにレベルが上がったということ。だから、次のステージに進まないとレベルは上がりません。

そのための本気の発表会、ぜひ組んでみませんか。

 

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「話していて元気の出るヒト」になる方法

「あのヒトと話しているとこっちまで元気になる」。そんなヒト、身近にいませんか。え、いない?なら、なっちゃいますか。

Positive Thinker

なぜあのヒトと話していると元気になるのか


「あのヒトと話しているとなんだか元気が出る」のには2つの理由があります。

話しているヒトが元気 × 話していることが前向き

話しているヒトが元気なキャラクターならば、話しているこちらも元気になれます。また、話していることが前向きならば、やっぱり元気な話をすることができます。

だから、元気がないときは少しでも前向きな話を、前向きな話ができないときは少しでも元気よく話すことが必要なのです。

 

とは言え変えづらいキャラクター


では明日から元気に話しましょう!…と簡単にはいかないのがこの問題。個人の性格パーソナリティは簡単には変えることができないものです。

個人のパーソナリティの最も大きな決定要因は何でしょうか?残念ながら、それは「遺伝」と言われています。つまり、生まれたときから、性格の方向性はある程度バイアスがかかっているということです。


 

もちろん、生まれた後の環境要因も影響を与えます。だから、絶対変わらないと言うわけではなく、最も大きな決定要因に遺伝があるということです。

 

開発できる前向き力


一方で、前向きに話す力というのは開発することができると考えられています。具体的にはコーチングという分野で研究されています。コーチングはスキルです。そのため、練習することによって能力を伸ばすことができる力であるとも言えます。

コーチングのポイントはいくつかあるのですが、一番のポイントは「日常会話の質を上げること」であることを意識する点です。僕が習った講師の方の言葉ですが、これほど適切にコーチングの本質を捕らえているものはないと思います。

とかくコーチングというと、アクティブリスニング、傾聴というように、聞くことを強く意識させられます。ただその結果、やたらといろいろと聞いてくる「うっとうしい」運用になりがちなのだそうです。

そうではなくて、「将来と現状のギャップを意識させることができるような質問を投げかけること」が前向きな回答を引き出すコツなのかなと、講義を受けて感じています。

 

まとめ - 「元気になるヒト」には誰でもなれる!


「話していて元気になるヒト」には2種類の特性が備わっています。パーソナリティとして元気をくれるヒト、そして、前向き力をくれるひとです。前者は性格ですが、後者はスキル。なので、「元気になるヒト」になることは誰でも努力次第で可能です。

前向き力とはコーチングが上手いこと=前向きに考えさせてくれる質問を投げかけてくれることです。このことを意識しながら会話をすると、本当に前向きな回答がぽんぽんと返ってきます。これには驚きました。

誰しもが前向きになる力を秘めています。あとは、それを上手に引き出してあげること。それが、「話していて元気になるヒト」の正体です。

「日常会話の質を上げる」。素晴らしい言葉だと思います。

今日から「話していて元気になるヒト」目指してみませんか。

ではではー

 

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CSRのよくある3つの勘違い

先日、CSR(企業の社会的責任)に関して専門家の方からお話しを伺う機会がありました。これは、勘違いしてたなぁと思いエントリー。


Authenticity in Corporate Social Responsibility / Geoff Livingston

 

3つの勘違い

  1. CSR=環境
  2. CSR=コスト
  3. CSR=義務

 

1. CSR≄環境


このイメージがCSRに対する全ての誤解の始まりだと思います。確かに環境問題は地球規模の問題となっており、喫緊に取り組むべき課題です。ですが、それは、自社が優先的に取り組む課題なのでしょうか?

決して環境を無視して企業を経営するべきと言っているわけではありません。

企業は営利団体です。しかし、利潤は何らかの社会的な課題を解決したことに対する報酬です。すると、課題の解決こそが企業の目標であると言えます。

企業はそれぞれ解決するべき社会の課題を担っています。その課題の解決こそがCSRなのです。そして、それは必ずしも環境問題であるとは限りません。自社が他社に比べて効率的に解決することができる課題の解決。それがCSR活動の目的です。

ですから、CSR活動=企業のドメインであることがもっとも効率的であることが分かります。自社が得意なことをできる範囲でやることが一番良いのです。

よく、企業のCSR活動として浜辺のゴミ拾いや植林活動をされている会社を見かけます。ただ、それは自社のドメインなのでしょうか。もっと効率的に社会に還元する方法はないのでしょうか。

 

2. CSR≄コスト


自社のドメインで活動するとした以上、CSR活動はコストではなくなります。全て自社の事業活動にとって意味のある活動です。たとえ無料で行なう活動であってもそれは将来の事業にプラスになるもの。

例えば、会計事務所が会計セミナーを無料で開催することは、会計の考え方を世の中に広めるという意味でCSR活動です。一方で、そのセミナーに参加して頂いた方からお仕事を頂けるならば、それは立派な営業活動です。

ちょっと高度な例だと、保険会社が自動車保険金の支払いを下げるために交通安全セミナーを行なうなんて例も。一見無関係に見える活動でも、社会に貢献しつつ、事業活動にも繋がっている素晴らしい例だと思います。

CSR活動はコストではないのです。将来の事業の展開に繋がる事業活動の一環です。

 

3. CSR≄義務


1-2から明らかに違いますね。自社の事業活動の一環で、決して追加的な負担ではないのです。ボランティアのように義勇的に参加するものではなく、課題の解決を目標に全社的に取り組むべき活動です。

ついつい、CSR活動というと追加のコスト・活動負担と勘違いしてしまいがちです。ですが、自社が解決したい社会の課題を設定し、その解決と結果としての利潤を目標とする点で何ら他の企業活動と変わりありません。

その点で、解決するべき課題の設定はとても重要な仕事です。全社目標と一致していることが必要なので、とても一部門のみでできることではありません。トップの目線と合っていなければならないのです。

 

まとめ - ではCSR活動と普通の事業活動は何が違うのか?


お話しをうかがう中で、CSRの概念として重要だと思ったのが、"Sustainability"です。僕の考えるSustainableな活動とは下のような活動です。

  1. 大きな社会的な課題を解決する活動である
  2. 長期的な視点で行なわれる活動である
  3. 効率性が重視される活動である

1-3の全てが、Sustainableであることに必要な条件だと思います。大きな課題であるほど長期的に取り組むことができますし、長期的な視点で行なうことによって継続性を重視しますし、効率性を重視することによって継続性が担保されるからです。

ひとむかし前、環境問題がここまで大きく叫ばれていなかったとき、社会の課題は豊かになることでした。もっと便利に、もっと豊かに。利便性の拡大という課題をより効率的にこなすことができる会社こそが社会に必要とされる会社でした。

ですが、社会が豊かになるにつれて環境への負荷が明らかに大きくなっていきました。そこで、豊かになることと同時に環境負荷を減らすことも必要となってきたのです。いわば、社会の課題が変わったのです。

事業活動をSustainableにするために、環境という大きな課題に取り組む企業が増えるのはこのような背景があるからです。ですが、環境だけが社会の課題ではありません。それは様々にある社会の課題の中の大きな一つの問題に過ぎません。

自社には他社よりも効率的に解決することができる社会的な課題があるはずです。それを解決する活動、それこそがCSR活動だったのです。

僕は、だいぶ勘違いしていました。みなさんはどうですか?

ではではー

 

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1%のひらめきと99%の努力の本当の意味

全世界の人々の99%は発言の趣旨を理解しておりませぬ。

快人エジソン - 奇才は21世紀に甦る (日経ビジネス人文庫)
和幸 浜田
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快人エジソンという本を読みました。エジソンはアメリカで最も尊敬されている3人のうちの1人で(もう2人はワシントンとリンカーン)、未だにアメリカの産業の16%はエジソンの発明によるものとのこと。現在もGneral Electricがその遺伝子を引き継ぎ、全世界にさまざまな発明品を拡げています。

この本の中で一番印象に残ったのが、1%のひらめきと99%の努力の本当の意味でした。

エジソン曰く、本当は以下の意味とのこと。

P.97
「たとえ1パーセントでも、ハイヤー・パワー(注・人智を超えた力)の知性の存在を確認できれば、努力も実を結ぶ。それがなければ、いくら努力しても無駄なこと。この発想の原点であるリトル・ピープル(注・宇宙から知性を与えてくれる存在)の声、すなわち、1パーセントのひらめきが最も重要なのだが、みなこのことがわからないようだ」

かなり飛んでいる発言なのですが、一番最初の1%のひらめきこそが大切だということは理解できました。

個人的にはひらめきは方向を決めて、努力は速度を決めると考えています。いくら速度が速くとも、向かう方向が誤っていたら目的地には着きません。これは人生のすべてに当てはまることです。

だから、目的が決まっている時には、一番最初の方向付けが一番大切なのです。それを決めるものがひらめきならば、ひらめきが訪れるように努力しなければなりません。

以前から、ひらめきは複数の既存の情報の結びつけだと考えています。この結びつけがどのように起こるのかは分かりません。だから、今できる最良のことは、できる限りさまざまな情報を偏りなく取り込むことです。どの点と点が惹かれ合い、突然結びつくのか全く分からないのが面白く難しいところです。

どうしても普段触れる情報は偏ってきてしまいます。それは、ひらめきを遠ざけているかもしれないのです。やはり、意識的に感度を高くしてさまざまな情報に触れなければいけないなと思わせてくれた読書でした。

しかし、エジソンほどの偉大な発明家となると、普通の生活をしていないですね。。ご興味ある方はご一読を。おそらく絶版なので、中古にて。

ではではー

 

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知識を組み合わせるための2つの方向性

新しい知恵は既存の知識を組み合わせることでしか生み出せないのですよね。

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mixture.jpg Photo by Little Blue Penguin

先日の授業でとても感心した点がありました。その教授の授業は経営戦略の授業なのですが、実にさまざまな分野の理論を使うのです。

経営戦略、競争戦略、マーケティング、ファイナンス、さては心理学まで。様々な分野の理論が一つの教授の理論としてまとめられています。

あぁ、考えるとはこういうことなのだなぁと感じました。

私たちは日常で様々なことに出会っています。それぞれは世界のほんのひとかけら。あまりにも細かく砕かれているので元の姿をつかみずらいため、人は理論を体系立ててきました。

でも、体系立てられた理論も、もっと大きな世界の一部分。それらも組み合わされてさらに大きな世界が見えてくるわけです。そこまで達している人ってなかなかいない。

とまぁ、抽象的な話はともかく、組み合わせるための方法は2つかなと思いました。

 

1. 相互リンク


Wikipedia方式ですね。2つ以上の関係するもの、しそうなものを「リンク」することによって、つながりから本質を見つけ出す方法です。

最近のEvernote for Macのアップデートがこの方法。自分の考えの断片をつなぎ合わせる作業そのものがクリエイティブで気づきをもたらしてくれます。めんどくさい作業だなぁと思うべからず。

ポイントは一覧することでしょうか。あとは検索。Evernoteを検索してみると、「あれ?このワードでこの記事がひっかかるんだ」という驚きが時々あります。そんな驚きこそがつなげることのご褒美です。

 

2. ストーリー化


Blog方式ですね。 あることがらについて話し始めると、「あれ?この話ってあの時のあの話のことでない?」とよく気づきます。その気づきがエントリーを面白くしてくれるのです。

冒頭の教授の授業もこちらのタイプ。独自の理論体系が真ん中にドンとあって、全ての他の理論がそれを支えるように集まっているのです。だから、どんな理論でも生きた形で使うことができるし、自分の理論を補強するために足りない部分も分かるのです。

ポイントは独自に一つ太い軸を持つことです。全ての理論を自分の理解軸から見ることである理論を他の理論に生きた形で組み込むことができます。難しいのは独自の理論や世界観を持つことです。

 

まとめ


普段、たくさんの様々なことを体験しています。それらは断片として私たちの頭にとどまっています。もっと意識的に結びつけ、一つの視点を創りあげることができれば、他の人とは違う考えにも到達できるかもしれません。

僕にとってのこのブログも、日ごろ気づいた様々なことを結びつける場です。できる限り視点を広く高く持てるようにしなければ。

大きな体系化。時間は掛かるけれどもトライする価値のあることだと思います。

ではではー

 

 

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実学を学ぶということ

実学を学ぶことは、生きる方法を学ぶことと同じなんだ。

earth
earth Photo by Joanna Vaughan

 

ケーススタディという授業


ビジネススクールに特徴的な授業として、ケーススタディという実際の事例を基に考え討議する形式の授業があります。参加者が皆社会人としてのバックグラウンドを持っているので、ある業界の深い知識や今まで考えたこともないような視点を聞くことができてとても刺激的な授業です。

つい先日も面白く授業に参加していたのですが、様々な案が出たところで教授から厳しい一言。

「あなたは、本当にそれをやるんですか?」

ガツンと殴られたような衝撃でした。そう、自分が考えていたことはただの机上の空論。実際にそれをやることがどれだけ大変なのかまで思いを巡らせてはいませんでした。

 

理論と実践の谷間


理論では安売りをすると決めたならとことん安売りを突き詰めないと競争に勝てないと言われています。頭では分かっていました。でも、それを考えている自分が実際に突き詰めてやる覚悟があるかというと、かなりあやしいことに気づきます。

とことんというのは、当然モノ切り、ヒト切りというコストカット徹底するということです。改革の過程で、その後もずっと、ギリギリと締め付けをする文化を保たなければ優位性を創れません。鉛筆一本だって申請制。徹底した意思を表明するわけです。

そうすると当然社内の雰囲気の管理は難しくなりますし、様々な関係者との対立も避けられません。

ましてターンアラウンドでは、再生の方法論の議論の前に資金注入という問題があります。勝負の舞台に上がるために、1.ラストチャンスとして、2.泣けなしのお金を、3.負けている事業にさらに注ぎ込むという大決断をしなければいけないのです。既に同業者には失敗者と陰で笑われている中で、です。

教授の質問は「そんな判断を本当に下せるの?実行できるの?」という問いです。

できません。とてもではないけどできません。
でも、しなければなりません。決断しないと、もっとひどいことになってしまうから。

意思決定は様々な重さを背負っているもので、軽々しくできるものではないのです。そんな当たり前なことにすら気づいていなかった自分を恥ずかしく思いました。

 

sea shore
sea shore Photo by flickrPrince

 

実学は生きるための方法を学ぶこと


無人島では誰だって、生きるために、釣りの仕方を必死で学びます。

魚が釣れなければ死が待っています。

つまり、実学とはそういう方法論だということです。生きるか死ぬかを分ける技術を学んでいるわけです。

このことだけは決して忘れずに学び続けたいと心に刻んだ授業でした。

ではではー

 

P.S.ちなみに、その教授が授業中に見せてくれたのがGLORYという映画のワンシーン。練習では100発100中の猟師が、教官に焦らされ、リボルバーを後ろで連発されると弾込めすらできなくなります。しかし、実際の戦場は比較にすらならない程暗く、恐ろしい場所なのですよね。

メッセージに効果的な映像を含めることでここまで説得力が増すものかと感動すらしました。

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マイクロソフトは何を買ったのか?

マイクロソフトがスカイプを85億ドル(6800億円)で買収すると発表しました。スカイプは言わずと知れたインターネット通話の雄。そのスカイプをビッグネームのマイクロソフトが買うということで、業界は大騒ぎです。

既に今後のサービスの展開やマイクロソフト製品との関連などについては熱くTech系の方々が語っているので、会計&戦略的な目線から考えてみたいと思います。

Microsoft Skype
Microsoft Skype Photo by AksgeekLive

 

買収価格が高すぎる?


今回のマイクロソフトの買収価格は高すぎるのではないかという意見が多数派です。

マイクロソフトが今回示した価格はスカイプの売上高の10倍に相当する。グーグルの時価総額ですら売上高の5倍強だというのにだ。買収価格はスカイプの昨年の営業利益の400倍強に相当する。(ロイターブログ

実際にスカイプの企業価値を単独で見るとそうなのだと思います。営業利益の400倍ということは、ごくごく単純に考えれば投資の元を取るのに400年かかる買い物だったということです。

他にも、現在の株主であるeBayは2005年にスカイプの30%持分を26億ドルで買ったのですが、2年後に14億ドルの減損を計上するということがありました。2年間でeBayが思っていた金額の半分しか企業価値が認められなかったということです。

また、スカイプの新規上場時には将来的に同社の企業価値は50億ドルに届かないとも見られていたそうです。そのことからも,やはりマイクロソフトの提示した価格はかなり強気な金額であったと言えるでしょう。

 

なぜマイクロソフトはスカイプを買ったのか - 会計的な考え方


では、なぜマイクロソフトは高額でスカイプを買収したのでしょうか。

会計上、企業の買収時に払ったお金は買収された会社のさまざまな資産に振り分けられます。その時に、今のスカイプでは会計上では認識していない資産にも値段をつけるというプロセスがあります。

このスカイプが会計上認識していない資産の中でマイクロソフトが価値を見いだしている資産として、「ユーザーとの関係」があるのではないかと思います。スカイプが持っているユーザーとの関係をマイクロソフトが上手くすくいあげることで、マイクロソフト製品を通じたコミュニケーションを更に広めることができると考えているのでしょう。

また、出遅れているWindows Phoneのためのサービスを作り上げることも考えているのだと思います。現在のスカイプユーザーにとって使いやすいサービスを携帯電話でも提供することができるとしたら、他社との差別化要因となります。

ただ、それにしても買収金額が大きすぎるので、ある程度顧客関係に買収金額が振られたとしても、かなりの額が「のれん」 = 将来の収益の期待という差額の勘定に振られてしまうのではないでしょうか。

 

なぜマイクロソフトはスカイプを買ったのか - 戦略的な考え方


会計上では説明がつかないとしたら、戦略上多額のコストというマイナスを正当化するプラス要因が必要となります。それは何なのでしょうか。

僕は、今回の買収は防衛的な買収だったのではないかと思っています。

スカイプの買収にはGoogleもFacebookも興味を示していたと言われています。この2社がスカイプを買収した場合には、OutlookやCommunicatorといった既存マイクロソフトのコミュニケーションソフトに対して大きな脅威となります。特にGoogleはマイクロソフトと同じ製品を限りなく低コストで提供する戦略を採っていますので、その価値が増すことはマイクロソフトにとって非常に危険です。そのため、連携したサービスを開発されないように、スカイプを買収してしまったのではないかと思います。

2009年にオラクルがサンマイクロシステムズを買収した時も、a.高い価格で、b.複数の競争相手がいる中で、買収が行われました。これは、オラクルが自分の市場を脅かしていたサンマイクロシステムズを買収することによって、自身の強化を行うとともに脅威を減らすという一石二鳥の買収であると言われていました。

今回のマイクロソフトからも同じような感覚を受けるのは僕だけでしょうか?

 

IT業界は本当に面白い


IT業界は産業としてライフサイクルが早く、イノベーションも数多く生じます。中で働いている方々は大変だと思うのですが、こんなに面白い業界は他ではなかなか見当たりません。

おそらく、他の業界でも同じようなことが将来的に起こるのではないかと考えています。学ぶことの多い業界でもあります。

今日はGoogleが話題をさらいましたね。そちらも今後考えてみたいと思います。

ではではー

 

 

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帰納と統合のための思考方法 - KJ法

先日、カードとしてのEvernoteというエントリーを書いている最中、現代のソーシャル社会ではKJ法がもっと活用されるべきではないかという考えがポッと浮かびました。

Web上では情報の枝がどんどん伸びています。Facebookのイイネ!ボタン、Googleの+1、そして、はてなブックマーク。これらのシェアリング機能によって人気のあるトピックについてはさまざまな人がさまざまな意見を寄せ合うことができるようになりました。

そのおかげで、既存の情報を基にその一歩先を行く新しい情報が付け足され、いままで到達していなかった域により速く皆で進むことができていると感じます。

たとえば、Evernoteの使い方についてもとてもスゴい記事が生まれるようになりました。

Evernoteを挫折した人、僕ともう1度本気になって挑戦してみませんか?[環境作り編]

[図解]Evernoteユーザに捧ぐ!現在使用中のiPhoneアプリ+Webサービス17選!!

これらの記事から分かることは、良いエントリーは帰納的な目線を持っていることです。

マインドマップ - 演繹的な考え方


普段僕らが何気なくエントリーしていることは、ほとんどが演繹的な考え方によって生まれたものです。これがあるから、こう。こう考えたので次はこう、と。

この考え方を強くサポートするツールがマインドマップです。既にあるガイドラインに沿って情報を枝のように伸ばすことによって、新しい発想を得ようとするものです。

mindmap

マインドマップには最初に力強い幹があります。この幹に沿って枝が伸びるため、良くも悪くも枝に実る情報は幹の特性を表したものとなります。

また、マインドマップは既にある情報を基に新しい枝を伸ばすので、思考は基本的に前の情報を基にしています。


KJ法 - 帰納的な考え方


一方で、KJ法は幹を作る方法であると言えます。さまざまな情報を基に、それらから何を言うことができるのか、と考えるのがKJ法です。

P1010526

この方法が今のソーシャル社会で活用されるべきと考えるのは、毎日膨大な数の情報が生み出されている中、それらをパーツとして扱い新しい何かを作り出すことがもっとあっても良いのではないかと考えるためです。

部品はWeb記事、ブログ、tweetの形で膨大に提供されています。一方で、それらをまとめるためには時間と力が必要となります。

その統合のためのツールとして、思考を整理・再構築するKJ法がもっと一般的になれば、関連するWebサービスなども生まれてより効率的に統合作業もできるようになるのではないでしょうか。


まとめ - 帰納的な視点で情報をまとめあげてみよう


情報の枝が伸びているこの社会では、今後その情報をまとめあげる力がより求められていくと考えています。そのツールとして、1970年代に確立されたカードシステスムに着目しているというのが最近の僕の考えです。

そして、カードシステムの一つの集大成としてKJ法がありますので、その上手な活用を考えたいです。

Evernoteの思考の断片たちの活用方法、まだまだ続けて考えていきたいと思います。

ではではー

関連本

発想法―創造性開発のために (中公新書 (136))
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ザ・マインドマップ
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Apple, GoogleとMicrosoftのリスク項目から考える企業の発展

Appleのものすごい決算が発表されたことが方々で話題になっています。
たった3ヶ月でUSD6000 million(約5000億円)の利益を創り上げてしまいました。

この5000億円、直近の四半期の決算で比較するとトヨタ5社分、Sonyに至っては25社分となります。確かに最近電車で携帯電話を使っている人の半分はiPhoneのような気がしますからね。

で決算の話題をここでするのもいまさらなので、今回は少し変わった報告書の項目についてのお話です。

SECに登録される10Q(日本で言う四半期報告書)の中には"Risk factors"という開示項目があります。通常は経済環境の変動や新技術の開発といった比較的大きな項目が記載される項目です。

ですが、Appleの記載していたリスクの中にこんな記載が。

The Company’s success depends largely on the continued service and availability of key personnel.
Much of the Company’s future success depends on the continued availability and service of key personnel, including its CEO, its executive team and highly skilled employees in technical, marketing and staff positions. Experienced personnel in the technology industry are in high demand and competition for their talents is intense, especially in the Silicon Valley, where most of the Company’s key personnel are located. The Company’s CEO has taken a medical leave of absence and will continue to be involved in major strategic decisions during his leave. There can be no assurance that the Company will continue to attract and retain key personnel.
(Apple Form 10-Q, period ended December 25, 2010より)

おー。
個人がリスクとして取り上げられることって、見たことがありませんでした。

しかも、ジョブスさんが病気休養することまでリスクとして書いてあります(赤字の部分)。確かにAppleの最大のリスクと言われているジョブスさんの病気なのですが、個人的なことまで報告書にはなかなか書きずらかったハズです。大衆の目にはさらされますし、SECに登録された書類としてずっと残ってしまいますし。

IRの担当者はよくここまで書いたなぁと思います。

では、Appleがジョブス・リスクならばGoogleはどうなんだろうと思って見てみたら、やはり載っていました。

If we were to lose the services of Eric, Larry, Sergey, or other members of our senior  management team, we may not be able to execute our business strategy.
Our future success depends in a large part upon the continued service of key members of our senior management team. In particular, our CEO, Eric Schmidt, and our founders, Larry Page and Sergey Brin, are critical to the overall management of Google, as well as the development of our technology, our culture, and our strategic direction. All of our executive officers and key employees are at-will employees, and we do not maintain any key-person life insurance policies. The loss of any of our management or key personnel could seriously harm
our business.

(Google Form 10-Q, period ended September 30, 2010より)

こちらはリスクの見出しで名指し(笑)。

Googleの創始者のラリー・ペイジさんのページ・ランクという発想が無かったらGoogleは無かったと言っても過言ではないのですから、確かにリスクなのかも。

IT企業のは個人に拠るところが大きいんですね。
…と終わろうと思った時ふと、今のマイクロソフトはどうなんだろうという疑問が。

結論としては、個人に関するリスクは書いてありませんでした。

なるほど、組織として機能し始めると、個人の力によるリスクが減っていくものなんですね。

企業は成長時は個人の力に依存して、成熟すると一つのシステムとして機能し始めることが顕著に現れている例なのではないでしょうか。

逆に報告書リスクに個人の力が書いてある限り、まだまだ成長途中の会社ということも言えるのかもしれないですね。

Risk factors。日本の四半期報告書では「事業等のリスク」として開示されていますので、一度読んでみると企業の特色が分かり面白いのではないかと思います。

ではではー

追伸:
書き終わった後にソフトバンクを思いつき確認してみたところ、孫さんがリスク項目として載っていました。IT企業では書く方が一般的なのかもしれません。

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